1978年より世界で愛され続ける、伝統の高出力型MCカートリッジ

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ダイナベクターの10Xシリーズは、発売以来アメリカやヨーロッパをはじめ世界中で絶大な評価を受け続ける伝統の高出力型MC (Moving Coil) カートリッジです。
1978年、それまでMC型カートリッジでは困難とされてきた高出力化をダイナベクター独自の技術により実現、オーディオ界を瞠目させました。同年と1981年にはシカゴCES(Consumer's Electronics Show)にてデザイン&エンジニアリング賞を受賞し、その特徴的な赤いボディと共に発売当初から現在に至るまで世界中のオーディオファイル達を魅了し続けています。
2003年に発売された10X5では、ヘッドシェルに取り付けるヘッドブロックにアルミ削り出しのパーツを採用し剛性アップ。2018年発売の10X5 MkIIではスタイラスチップの形状を従来の楕円からラインコンタクトのシバタ針タイプIIIに変更・・・常に進化を続ける伝統の10Xシリーズです。
2025年、ダイナベクターの独自技術「特殊磁気焼鈍」を採用した新しい磁気回路によりさらに性能アップしました。より伸びやかで明瞭なサウンドを生む新型モデル「10XA」は、エントリーモデルの枠組みを超える魅力的なアナログ再生をお届けします。
MCカートリッジDV 10XAの特徴/構造/仕様
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特殊焼鈍磁気回路
MCカートリッジの要にあたる磁気回路には、磁気特性が安定していて歪みが少ない純鉄を使用、さらに焼鈍温度、焼鈍環境、加熱時間、加熱率、冷却率など磁気焼鈍の最適化にこだわった特殊焼鈍を実施する事で、歪みの無い優れた解像力、のびやかな広域の表現、音場空間の広がりを実現しました。
●オーディオ技術レポート: 特殊焼鈍磁気回路10XA-H:伝統の高出力MCカートリッジ
高出力MCカートリッジは、ダイナベクターが開発した独自の巻線技術によりはじめて可能になるもので、超極細線をコイルボビンに多数回巻くことにより、ヘッドアンプや昇圧トランスを必要としない2.8mVの出力電圧を確保しています。 MCカートリッジの持つ音質的優位性を維持しながら、MMカートリッジと同様に使用できるという使いやすさが魅力です。
推奨負荷抵抗は1,000Ω以上です。MMポジションのPHONO入力端子(47KΩ負荷)に接続してお使い頂けます。10XA-L:MC型の魅力が活きる低出力モデル
低出力モデルの10XA-Lでは、ダイナベクターMCカートリッジとしてはやや高めの出力電圧0.5mVを採用。様々な昇圧トランスやヘッドアンプとの相性も良く、MCカートリッジならではの魅力を存分にお楽しみいただけます。
ヘッドアンプの負荷インピーダンスは100Ω以上を推奨します。 -
シバタ針タイプIIIスタイラスによる優れた高域特性
現代のワイドレンジなアナログ再生技術に対応するため、高域特性に優れたシバタ針タイプIIIスタイラスを採用。カンチレバーには軽量な硬質アルミニウムパイプを使用しました。
レコードの溝に対する追従性が大きく向上し、いままでに以上に高い分解能の音楽再生を実現しています。
ネオジム磁石とソフト化マグネット
強力なネオジム磁石による高出力を実現しつつ、希土類マグネットが持つ歪みやうるささを軽減するために開発された特許技術「ソフト化マグネット」を採用。
ネオジム磁石の強力な磁力を活かしつつ、すっきりとした音離れの良さを実現しています。
●オーディオ技術レポート: ソフト化マグネット幅広い適合性
アルミ削り出しヘッドブロックの新規採用により、ヘッドシェルへの強固な取り付けが可能です。 コンプライアンス12mm/Nと総重量7.5gは市場のほとんどのトーンアームに適合します。

- 型 式
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高出力/低出力MCカートリッジ
(フラックスダンパー、ソフト化マグネット付) - 出力電圧
- 2.8mV / 0.5mV(at 1 KHz,5cm / sec.)
- チャンネルセパレーション
- 25dB 以上(at 1KHz)
- チャンネルバランス
- 1.0dB 以下(at 1KHz)
- 周波数特性
- 20 - 20,000Hz(±2dB)
- コンプライアンス
- 12mm/N
- 針 圧
- 1.8 - 2.2g
- インピーダンス
- 150Ω / 32Ω
- 推奨負荷抵抗
- 1KΩ以上 / 100Ω以上
- カンチレバー
- 6mm 長 硬質アルミニウムパイプ
- スタイラス
- シバタ針タイプIII
- 自 重
- 7.5g
- 取扱説明書
- 10xa_jmanual.pdf (711KB)
- 製品カタログ
- 10xa_jcatalog.pdf (2552KB)
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製品レビュー
音楽之友社の「Stereo 2025年9月号」による10XAレビュー
- 伸び伸びとした開放感が本機の特徴(石田善之)
- 長い時間音楽と向き合える傾向の音(岩出和美)
- 音場再現が豊かでデリケートな表現力(潮晴男)
- ナチュラルで柔らかく落ち着いたサウンド(福田雅光)
上記レビューは一部を抜粋したものです。詳しくはレビュー全文をご参照ください。
●話題の新製品を聴く - Stereo試聴室10XA MCカートリッジレビュー by Chris Frankland
まず試聴したのは、Chris Walkerが故Al Jarreauに捧げたアルバム『We're in This Love Together』です。タイトル曲を再生すると、冒頭からWalkerの歌声の開放感と表現力、明瞭でフォーカスの合ったピアノ、そして深みと力強さを備えつつも機敏なベースラインに感銘を受けました。Gerald Albrightの素晴らしいサックスも開放的かつ雄弁で、10XAによってその技巧やニュアンスをじっくりと聴き取ることが出来ました。競合カートリッジでは低音がやや膨らみすぎ、音全体が温かみ寄りに傾きました。10XA-Lの方が音楽的な満足感において勝っていると感じました。
次に、最近購入して気に入っているFergus McCreadie(ピアニスト兼作曲家)のアルバム『Stream』から「Sun Pillars」を試聴しましたが、これが実に魅力的でした。競合機ではピアノの音色やボイシングが少し不自然に感じられましたが、10XAに替えると、私が普段聴き慣れている音に近く、今年ロニー・スコッツで聴いた生演奏の響きにもより近づきました。競合機は温かさが過剰でぼやけ気味、対して10XAは切れ味鋭く、高音域のアタックから低域の厚みまでしっかりと描きます。パーカッションのディテールも繊細で、ダブルベースの抑揚や動きがより説得力を持って再現されました。スタッカートのリズム感も鮮明で、McCreadieの技巧とエネルギー、そしてStephen Henderson(ドラマー)の繊細なタッチまでもが際立っていました。
10XAは精巧に作り込まれ、美しい仕上がりを持つカートリッジです。仕上げまで丁寧に作り込まれており、音はクリアーで開放的かつダイナミックです。その優れた解像力により、卓越した音楽家ならではの繊細なニュアンスや表現をしっかりと聴き取り、味わうことができます。また、音楽のリズム感やエネルギー感も見事に伝え、聴いているうちに自然と足でビートを刻みたくなります。どんな音源でも難なく再生できたことは、冶金学的な処理がカートリッジの音に及ぼす影響について突き詰めて研究したダイナベクターの成果が、10XAのみならず昨年レビューしたDV 20X-2AやXX-2Aでも大きな成果を上げていることを示しています。
私はこのDV-10XAを心から推薦します。パフォーマンス、価格の両面で優れた価値を提供するモデルです。もしお使いのアンプがMM入力しか備えていない場合でも、同価格で用意されている高出力仕様(10XA-H)を選べば、ステップアップトランスや専用フォノステージを追加購入する費用を節約できます。
上記レビューは一部を抜粋したものです。詳しくはレビュー全文をご参照ください。
●10XA MCカートリッジレビュー by Chris Frankland
