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DynavectorMC Cartridge

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ダイナベクターMCカートリッジの伝統と特徴

ダイナベクターMCカートリッジの伝統

ダイナベクターのMCカートリッジは、革新的な設計思想、高度な製造技術、アナログ再生への揺るぎないこだわりにより、1978年から現在までの長きにわたって世界中で高い評価を受け続けています。
オーディオソースの歴史としては、アナログレコード以後もCD(コンパクトディスク)、SACD、ハイレゾ、DSDなどの多くの新しいフォーマットが生まれてきました。しかし、これらのデジタルメディアはアナログ録音に比べて物足りないと考えているオーディオ愛好家は少なくありません。
ダイナベクターは、デジタルソース全盛期の時代においても独自のMCカートリッジシリーズを改良し続け、世界中の音楽愛好家に最高水準のアナログ再生を提供してきました。

1978年より続く伝統ある高出力MCカートリッジDV-10Xシリーズにおいては、1978年と1981年にシカゴCES(Consumer's Electronics Show)にてDesign and Engineering Awardを受賞するなど、ダイナベクターの革新的なMCカートリッジはいつの時代も世界中のアナログユーザーを魅了し続けています。

MCカートリッジ 10X5 MkII

MCカートリッジ
10X5 MkII

MCカートリッジ 10X5 MkII LOW

MCカートリッジ
10X5 MkII LOW

ダイナベクターMCカートリッジの特徴

アルニコマグネットとソフト化マグネット

MCカートリッジの要である磁気回路、その心臓部に該当する要素が磁石(マグネット)です。
現在、MCカートリッジの磁石として一般的に採用されているのはネオジム磁石、サマコバ磁石(サマリウムコバルト磁石)、アルニコ磁石などです。
MCカートリッジの設計においては、出来るだけ少ない巻数のコイルからより高い出力を得るために、また少しでも磁石を小さくして自重を軽くするために、ネオジム磁石などの高性能な磁石を採用する場合が多く見られます。
ネオジム磁石におけるネオジム(Nd)、サマコバ磁石におけるサマリウム(Sm)など、希土類元素(レアアースとも呼ばれる)を使用した磁石は希土類磁石と呼ばれ、その高い磁力と減磁しにくい特性から、優れた特性の永久磁石としてMCカートリッジ以外にも様々な分野で活躍しています。

しかし、MCカートリッジのための磁石として考えた場合、優れた特性の永久磁石が音質上も優れているとは限りません。
永久磁石として圧倒的に優れた特性を持つ希土類磁石は、その非常に高い磁気抵抗ゆえの弊害として、MCカートリッジにおけるエアギャップ(磁力の集まる部分)の磁場が不安定になりやすい性質も持っているのです。

ダイナベクターのMCカートリッジでは、磁気抵抗が低くエアギャップの磁場が安定するアルニコマグネットを採用している他、特許技術のソフト化マグネット(Softened Magnetism)によって、ネオジム磁石やサマコバ磁石の音質を大幅に改善した上で使用しています。

MCカートリッジ XV-1t

MCカートリッジ
DRT XV-1t

MCカートリッジ 20X2A

MCカートリッジ
20X2A-H/L

フラックスダンパー

MCカートリッジの音質を決める重要な要素として、心臓部である磁石と併せて考えなくてはならないのが、フロントヨーク、リアヨーク、ポールピースからなる磁気回路です。
ダイナベクターのMCカートリッジでは、特許技術であるフラックスダンパー (Flux Damper)を採用し、磁気回路内の磁力の変動を抑えています。
MCカートリッジの正面に位置するフロントヨーク、その中央に巻かれた巻線コイルや金属製のリングは、磁気回路内の磁束(Flux:フラックス)の微小な変動に即座に反応し、その変化をキャンセル(Damping:ダンピング)させる方向に磁束を発生させます。

ダイナベクターのMCカートリッジの磁気回路は、ソフト化マグネット(Softened Magnetism)とフラックスダンパー (Flux Damper)、2つの特許技術によって比類のない磁気的安定性を実現し、それがMCカートリッジの限界を超えた低ひずみと豊かな音楽性へと繋がっています。

MCカートリッジ Te Kaitora Rua

MCカートリッジ
Te Kaitora Rua

MCカートリッジ XV-1s

MCカートリッジ
DRT XV-1s

特殊焼鈍磁気回路

2024年に新たに開発された特殊焼鈍磁気回路は、MCカートリッジの磁気回路の構成を素材レベル、そして原子レベルの視点から大幅に改善するべく開発されました。
MCカートリッジの磁気回路を構成するフロントヨーク、リアヨーク、ポールピースには不純物の少ない純鉄を採用。さらに、特殊磁気焼鈍によって純度が高められ、加工時に歪められた原子レベルでの結晶構造もMCカートリッジに特化した形に再構築されます。

最新の特殊材料の開発にも携わる磁気焼鈍のスペシャリストと共に実現した新たな磁気焼鈍技術は、ダイナベクターMCカートリッジの伝統である磁気回路の性能をさらに引き上げます。

MCカートリッジ 20X2A

MCカートリッジ
20X2A-H/L

MCカートリッジ XX-2A

MCカートリッジ
XX-2A

高出力MCカートリッジ

ダイナベクターの10Xシリーズは、1978年から続く伝統の高出力MCカートリッジです。
MCカートリッジでありながら、MMカートリッジと同等の高い出力電圧が得られる高出力MCカートリッジは、昇圧トランス(ステップアップトランス、MCトランス)やヘッドアンプが不要な気軽さ、シンプルさが魅力のMCカートリッジです。
一般的なMMカートリッジと比べた場合、その構造の違いの中でも最も目立つのは磁石の存在感です。MMカートリッジでは、振動部分(カンチレバーなどのスタイラス周り)の質量を軽くするために、磁石を可能な限り小さくする必要があります。一方、高出力MCカートリッジでは十分な大きさの磁石を使用できるため、その代わりに発電コイルの巻き数を減らす事が出来ます。発電コイルの巻き数が少ない事は内部インピーダンスが下がる事に直結し、それは高出力MCカートリッジの音質上の大きな利点となります。

MCカートリッジ 10X5 MkII

MCカートリッジ
10X5 MkII

MCカートリッジ 20X2A

MCカートリッジ
20X2A-H/L

波束分散理論と極短カンチレバー

ダイナベクターMCカートリッジのもう一つの伝統が、波束分散理論に基づいて設計された極短カンチレバーを採用したKARATシリーズです。 1980年より続くMCカートリッジKARATシリーズは、わずか1.7mmという極短長カンチレバーを特徴とし、またダイヤモンドやルビーを採用した宝石カンチレバーの先駆けとしても知られています。
一般的な(長さ6mm程度の)カンチレバーを採用したMCカートリッジでは、ピックアップ(カンチレバー、スタイラスチップ、コイルボビン)部分の共振周波数が20kHz付近となってしまい、高域や倍音成分が共振の影響を受けてしまいます。その一方、極短カンチレバーを採用したKARATシリーズの場合はその共振周波数は50kHz以上になるため、超高域の倍音成分を含む高音域の音声をより忠実に、伸びやかに再生出来ます。

MCカートリッジ KARAT 17DX

MCカートリッジ
KARAT 17DX

ダイナベクターのMCカートリッジについて

MCカートリッジシリーズのほか、質量分離型トーンアームDV 507 MkIIMC昇圧トランスSUP-200などの全てのモデルはダイナベクター製品一覧に掲載されています。
また、より詳しい技術情報についてはオーディオ技術レポートにも掲載されていますので、そちらもぜひお読みください。