HIFI CHOCE ロゴ width=Hi-Fi Choice Review for DRT XV-1

夢のコンポ (Dream Machine)

カートリッジ史上の最後を飾る驚くべきXV-1を使ってJason Kennedyがレコードを聴きまくる。

Hi-Fi CHOICE 英国の伝統ある有名オーディオ誌の2000年12月号において、ダイナベクターの新製品XV-1が絶賛され100点満点、しかもEditor's Choiceとなりました。これは珍しいことです。以下翻訳文は同社の許可を得たものです。                                                                 

概 要

 このデジタル万能時代マウンテン・バイク1台分のカートリッジのレビューなんて、気でも狂ったのかと思われるだろう。このような人たちはナッツ(nuts)と呼ばれており、ちょっとおかしい。確かにその通りわれわれは正にナッツ(nuts)である。 画期的な構造のXV1

 この20世紀の間、最も実用されてきたのは偉大なアナログ・サウンドだ。これに似ているのがFerrari狂。そこらの常識人にはとても分からないその非日常性。XV-1の価格は、Ferrariと同様とても手が届かないものとはいえ、XV-1は音楽狂にとって夢を見るくらいすごいのである。

 開発者富成氏にとって、最高のカートリッジを作る場合お金なんて目じゃない、殆どリミット無しといえる。2500ポンドもするDRT-XV-1は彼の作品中 最高のカートリッジであり、端から端まで革命的である。フロント・ヨークはV字形でフラックス・ダンパーを持つ。磁気ギャップの一方には磁気イコライザーと称するポール・ピースがあり、発電コイル周辺の磁気分布の均質化と線形性が考慮されている。
 出力はMCとしては普通で0.3mVで私のハイ・ゲイン・プリには十分で、その能力を発揮したが、ダイナベクターはヘッド・アンプPHA-100を用意している。惜しくも輸入元ペア・オーディオ(Pear Audio)の都合で今回使用できなかった(1500ポンド)。

 XV-1のカタログを読んで驚いたのが、アルニコ・マグネット8本が使われていることだ。だがマグネットの数はどんな働きをするのかは分からない。それよりもHiFiで高評価されているアルニコマグネットを使っているのが興味深い。オーディオ製品ではアルニコのスペース・ファクターの悪さや高コストのためあまり使われていないが、オーディオノート(Audio Note IO)、バンデンハル・グラスホッパー(Van den Hul Grasshopper)等の素晴らしいカートリッジ、旧型ローサー(Lowther)、タンノイ(Tannoy)等のスピーカーにアルニコは使われ、いずれも高い評価を得ている。

 XV-1の重さは常識以上の13.5グラムと大きいので、普通のトーン・アームではより重いカウンター・ウエイトが必要になる。カンチ・レバーはボロン、スタイラスはライン・コンタクト、針圧は近年のローコンプライアンスカートリッジでは普通の2グラムで30Ωの負荷抵抗を推奨している。                                         

サウンド・クオリティ

 私のプレーヤーはSME Model-20プレーヤーにModel-Xトーン・アームを載せたもので、全く無色で癖の無いものである。Van den Hul Grasshopperのシェル、Audio Note silver wire、Tom Evans Grooveプリ・アンプというライン・アップである。  

極めて優秀という印象は初めから今も変わらない。どんなレコードを聴いても、Van den Hul Grasshopperに比べてバランスは暗い方だ。トップエンドはやや大人しいが、bassの深みのある音質は唯々驚異的である。Townshend Rock Referenceを聴いたとき、このbassは今まで聴いたビニール・レコード中最高のものであった。音楽のレベル変動、ダイナミックスに対して非常に敏感に反応するし、強烈な音溝においても最高の能力を発揮する。更にイメージの奥行き再現も素晴らしい。こういうような分野では良いレコード・プレーヤーは高級CDプレーヤーに優るものだが、今回の場合はドイツのオーディオ誌でよくいわれるAbsolute Spitzen class*(絶対的最高クラス)ともいうべきものである。

*HiFi CHOICEと同じ性格を持つ、独Stereoplay誌の評価基準の最高点。            

V型ヨークにマグネットが4個配置されているYo La TengoからKeith Jarrettまで演奏者の縦、横の空間再現はまさに見事というほかない。XV-1といえども空気感の乏しいLPは少なくないが、非常に多くのLPから驚く程の空気感が再生される。私がこの点で最も驚いたのは、友人Paul Messengerが置いていったHot Tunaアルバムの原版である。その音たるや、まさにGreatそのもの。Dynavectorで再生するやスピーカーの存在は消え失せ、その臨場感たるや100%本物といってもよいくらいである。まさに文句のつけようもない。

 音の質感再現も申し分ない。楽器や声の再生では普通問題があるものであるが、その深みやカラーもよく再生される。特にTerry Callierの歌うOrdinary Joeや多くのレコードのサクスホーンの深み、レゾナンス、個性等今まで私が経験したこともない素晴らしさだ。ブラスは時として目立ち過ぎたり強過ぎたりするものの、音楽のエネルギー、その輝きと音色を全て再現してみせる。そして全くうるさくないのである。


結 論

このカートリッジは恐るべき代物だ。バランスという点で極めて自然であり、レコード・プレーヤーがレコード・グループから取り出すあらゆるニュアンスを再生することができ、そのソリッドで自信たっぷりの音は他のカートリッジ真っ青だ。もし適当なレコード・コレクションとそれに相応しいレコード・プレーヤーがあり、一晩ゆっくり音楽を楽しみたいとき、この偉大なるモノを聴いてみることをお勧めする。ダメならその夢を持ち続けることだ。  100点満点。   ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

Copyright (C) 2000 Hi-Fi Chice December 2000

2000年12月14日

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