カー用パワーアンプの話

A級アンプとB級アンプ
 パワーアンプには、動作点の違いによりA級、B級、C級、D級などの方式があります。このうち、オーディオ用として使用されるのはA級,B級 のほか両者の中間的なAB級です。

■ A級アンプは贅沢な回路方式

 現在のアンプのほとんどは交流信号の上半分と下半分を別々のトランジスターで動作させる「プッシュプル方式」を採用しています。A級アンプでは入力信号に対して、上半部と下半分を同じ動作をさせ、それを足し合わせることで出力信号をつくっています。このため、信号のつなぎ目が滑らかで、いわゆる「クロスオーバーひずみ」がほとんどありません。

 しかしトランジスターの動作点をトランジスター特性の直線部におき動作させる方式のため、入力信号の有無に関係なく常に一定のアイドル電流が流れることになり、電源回路から常に一定の電力を供給しなければならず、電源効率の悪い方式と言えます。
すなわちA級アンプはトランジスタ特性の直線部を使用するので、大きな電力は得られませんが、ひずみの少ない高品位なサウンドクオリティが得られます。

      
  • 長 所
    ・繊細かつアキュレートなサウンドが再生できる。
    ・原理的に「クロスオーバーひずみ」が発生しない。

  • 短 所
    ・同規模のB級パワーアンプの4分の1程度の出力しか得られない。
    ・常に最大出力時と同じ電源電流が流れるのでバッテリーに負担がかかる。
    ・発熱量が多く、クーリングに難点がある。(小出力時ほど発熱量が多く、無音時に最も熱くなる。)
使い方は

 上記の事から分かるように、小出力でも高品位な音が欲しい場合に使用します。例えば、マルチアンプシステムのトゥイータ用や、全帯域用でも大きな音では使用しない場合に使用すると良いでしょう。

インストール時の注意点は

  • 小出力でも発熱量が多いので、放熱しやすい場所に取り付ける。
  • 電源ラインのケーブルは充分太い物を使用する。
  • 使用しない時はこまめに切ってバッテリーの負担を軽減する。

A Class Fig
増幅方式の違い----動作点の位置により流れるアイドル電流量が異なる


■ 特殊なA級アンプもあります

 最近、A級の長所と、B級の長所を合わせ持った、特殊なA級パワーアンプがあります。これは、バイアス回路に入力信号のレベルによって、アイドル電流を可変させる 回路を追加したものです。
すなわち、動作的にはB級動作に近く、トランジスターの受け持ち領域の下半分に入力信号が移行していくとき、トランジスターがオフにならないようにアイドル電流を変化させる方式です。A級パワーアンプの欠点を補い長所はそのままという謳い文句ですが、回路が複雑になるのとダイナミックにバイアスを可変させることが音質に不利という意見もあります。


■ B級アンプは大出力が取り出せます

 各社より発売されている単品カーオーディオ用パワーアンプは、パワーICを使用した廉価な物を除いては、殆ど全てが2電源プッシュプルを採用しています。通常のB級パワーアンプでは、信号が無い場合はアイドル電流はほとんど流れず、別々のトランジスターで入力信号の上半分と下半分をそれぞれ分担し、一方のトランジスターが動作しているとき、もう一方のトランジスターは休止しています。
 このため電源効率は良く大きな出力は得られますが、上半分と下半分の信号を足し合せる際、そのつなぎ目がうまくいかずどうしても「クロスオーバーひずみ」が発生してしまいます。

 現在のアンプ回路の主流になっているのはAB級動作といわれ、アイドル電流を少し流すことで信号の上半分と下半分の一部を交差させて、つなぎ目部分の信号だけ足し合せることにより、大きな出力を確保しながら「クロスオーバーひずみ」をなくす回路方式です。

(97/10/10)


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