Jazz愛好家の鎌谷邸スーパーステレオ試聴記

May 25, 2005 関西ハイエンドオーディオの牙城・鎌谷宅訪問記

 月曜はAquiraxさんと一緒に久しぶりに鎌谷さんのお宅にお邪魔してきた。 鎌谷さんは現在、「スーパーステレオ」なる新機軸を打ち出しており、インフィニティのイプシロンにYoshii9や富士通テンのスピーカーを加え、計8本のスピーカーを同時に鳴らすという荒技に挑戦しておられる。ちっともじっとしてない方だ。
 ひょっとしたら鎌谷さんは、「こんなにたくさんのスピーカーを設置するのは邪道である!」とか言って、わたしが反対意見を述べるのを恐れていたのではないか。どうもそんなふうに見うけられる。

 自分がやりたいと思うかどうかは別として、お客さんの立場で言わせてもらえば、イイ音が聴けて楽しければなんだっていいわけで、スピーカーが中吊りだろうと何十本あろうとそういう表面的なことには頓着しない。むしろ鎌谷さんが次々に新しいことに挑戦していく姿勢はとても素晴らしいと思う。

 さて、行くたびに配置が変わってる鎌谷さんのオーディオルーム。今回も大掛かりな模様替えがあったようで、窓を背にして置かれていたイプシロンが、壁一面のクローゼット前方に移動していた。以前よりも部屋の音響はややデッドになったように感じるが、マルチスピーカーで再生するのならこのほうがいいのかもしれない。
 ハーゲンダッツのアイスクリームを食べながら、しばし鎌谷さんのソフトを聴かせていただく。ふとラックを見ると特注品の管球式プリアンプの蓋が「半分」開いてる。放熱のためだそうだ。なるほど大きな真空管が入っている。

 鎌谷さん、何かを感じたのか、その蓋を完全に外してしまった。するとスピーカーが俄然生き生きと鳴り出したではないか!  グランドピアノのように半分開いてたプリアンプの蓋が共振を起こしてたのだろう。単純に蓋を取ってしまうのが良いとか悪いとかいうより、「半開き」の状態が良くなかったのだ。

 Aquiraxさんが持参したCD『クール・ブルース』をかける。さすがのAquiraxさんも、あまりの音のよさに開いた口がふさがらないようだ。
 「どうですか?ジャズやと、低音がちょっと足りヘンのとちゃいますか?」心配そうに意見を求める鎌谷さんだが、
 「いや、良いですよ!これ!」
 Aquiraxさんが動揺している。いつも冷静な氏が動揺すると面白い。

 鎌谷さんがトイレに行ってる間に勝手にCDラックからデクスター・ゴードンの『One Flight Up』を出してきてかけた。一曲目の「Tanya」は18分もある。ブルーノートのスクリーンセーバーでもバックに流れる曲だが、これがもう涙が出るくらいカッコイイ!
 18分たっぷり至福の時間を味わって、なお延々とデクスターが吹きまくるボーナストラックの「Kong Neptune」も全曲聴かせてもらった。いやあ、もう極楽ですわ。

 ところで鎌谷さんのお宅には、エソテリックのなんでもかかるハイエンドプレーヤーUX-1と、マランツのCDレコーダーがあり、エソテリックのほうは恐れ多いので、わたしが遊びに行ってちょこちょこ弄ったりするときには、もっぱらマランツのほうで聴かせてもらっていたのだが、今回はマランツとエソテリックのキャラクターの違いがはっきりと出た。

 今すぐにでもジャズ喫茶が開店できそうな轟音を発していたのは、マランツのほう。エソテリックでジャズを聴いても全然面白くない。交互に聴き比べると、マランツのほうがJimmy Jazzの近所で鳴ってるような(?)音がする。ところが鎌谷さんが普段聴くような交響曲をこちらでかけると、少し軟派でくだけた感じになってしまう。その点エソテリックはちゃんとしてる。端整でお行儀が良い。ハイエンドのお店で鳴ってるような音で、こちらのほうが「鎌谷さんらしい音」だと思う。今までエソテリックは好きじゃなかったが、あらためて凄いと感心した。

    原文参照は・・・ Jimmy Jazzのサイトへ
     

 

 


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